債務整理するとどうなる?その後のメリット、デメリット

債務整理するとどうなる?その後のメリット、デメリット

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2018.07.05

債務整理方法によって異なる、その後のメリット、デメリット

本来なら借りたお金は、きちんと返済すべきです。一時的な物入りで借りた借金なら、その後の生活費や遊興費を少しずつ削るなどで返しようもあります。しかし、生活費が不足して借りた場合は、来月になっても給料が増える訳ではありませんから、やはり生活費は不足したままです。

そうすると借りては返しての自転車操業が続くことになり、お金を借りているという感覚が曖昧になり、少しずつ借金が増えていく悪循環に陥ります。そんな状態で何度か追加で大きな金額を借りると、その後はどうやっても借金が返せないという状態にはまり込んでしまうのです。そうなると債務整理という最終手段を考えざるを得なくなりますが、債務整理を行うとその後はどうなるのでしょうか。

本当に借金の心配はしなくてよくなるのでしょうか。借金から解放されるメリット以外に、何か大きなデメリットを背負い込むことになってしまいはしないでしょうか。基本的に債務整理の仕組みは、債務者側に有利なようにできている仕組みです。債務整理としてもっとも知られている自己破産では、何十万、何百万ものお金を貸していても、それらのほぼ全額が戻ってこなくなるわけですから、お金を貸した側にとってはとんでもない手続きです。

借りた側も、もちろん多くのデメリットが発生する訳ですが、それらは後に個別に紹介します。ここでは、代表的な債務整理方法である、自己破産、個人再生、任意整理の3種類について、それぞれの処理内容とともにメリット、デメリットについて紹介しましょう。

自己破産のメリット、デメリット

債務整理の切り札的な最終手段が、自己破産です。自己破産を行えば、その時にあった借金は全て免責となります。その代わり、保有財産のうち、時価で20万円以上の価格がつくものは全て売却され、借金の支払いに充てられます。よほどの中古車でないかぎり、マイカーは没収の対象となりますし、不動産はまず100%没収対象になります。

他にも解約戻り金が20万円以上の保険や有価証券、宝飾品や美術品などがあれば、それらも処分の対象となります。ただし、生活必需品や家電製品は対象外になるので、元々質素な生活をしていれば、それほど持っていかれるものはないかもしれません。自己破産を行うと、7〜10年間の間、ブラックリストの対象になり、新たな借金やクレジットカードは作れなくなります。

また官報という国が発行する広報誌のようなものに、申告者の氏名、住所が記載されます。一般の人がわざわざ見るようなものではないので、これで知人や勤め先にバレるということはないでしょう。ただ、この自己破産者を狙う闇金融業者のようなところから、DMが届くことはあるかもしれません。

あまり、関係はないかもしれませんが、自己破産申し立てから、免責までの間、つくことができない職業があります。それは、保険外交員や警備会社職員です。職業の制限がある債務整理は、自己破産だけです。自己破産の場合、気をつけておきたいのが借金の中に連帯保証人を伴ったものがないかということです。

そのような借金がないのなら、特に問題にはなりませんが、連帯保証人を伴う借金がある場合、自己破産の申し立てをした途端、連帯保証人に借金返済の取り立てがいきます。連帯保証人は、親族や親しい友人などにお願いする場合が多いと思います。そのような恩のある人に、借金の取り立てという多大な迷惑をかけることになります。

ことによると、連帯保証人の方の生活を壊すことにもなりかねませんし、周囲の人間関係にも大きな亀裂が入ります。共通の知人へも、自己破産の評判は知れ渡ることになります。連帯保証人付きの借金がある場合は、自己破産による債務整理はできるだけ避けたいものです。

個人再生のメリット、デメリット

自己破産は、資産価値のあるものは全て借金の返済に充てられますが、一部の財産を残すことができる点が異なるのが個人再生です。簡単にいえば、残したい財産の価値分の借金の返済はするけど、その他の資産は放棄し、その支払いで足りない分の借金は全て免責となる制度です。借金の総額によって、支払わなければならない金額が決まっており、以下のような原則になっています。

借金合計金額が100万円以下のとき    → 全額返済

借金合計金額が100~500万円のとき   → 100万円返済すれば残りは免除

借金合計金額が500~1,500万円のとき  → 総債務額の20%を返済すれば残りは免除

借金合計金額が1,500~3,000万円のとき → 300万円を返済すれば残りは免除

借金合計金額が3,000~5,000万円のとき → 総債務額の10%を返済すれば残りは免除

借金が400万円のときは、100万円返済すれば残りが免除となり、100万円までの財産を残しておくことができるという仕組みです。ここで、もし残したい財産の合計が110万円の場合は、返済額を110万円にすればよいので、ある程度融通もきくところが個人再生の特徴です。

あまり、多くの財産を残したいと考え出すと、債務圧縮の効果がなくなり普通に返済するのと変わらなくなるので、使いようが肝心です。それ以外の点に関しては、個人再生と自己破産はあまり変わりがありません。官報にも掲載されますし、ブラックリストへの掲載期間も7〜10年と任意整理よりも長い期間掲載され続けます。手続き中の職業の制限はありませんが、連帯保証人に借金の取り立てがいく点も自己破産と同じです。

債務整理は、なるべく家族を含め他人に知られたくないと思っておられるケースが大半のようです。弁護士を挟めば、手続き書類の届け先などの窓口も弁護士がやってくれるので、ほぼ家族にも隠し通すことが可能です。ですが、連帯保証人が絡むと絶対に隠し通せません。ブラックリストは数年で解除されますが、連帯保証人やその周囲の知人友人から失う信用は一生ものです。

任意整理のメリット、デメリット

自己破産、個人再生で最大のデメリットとして連帯保証人に迷惑をかけることを取り上げました。債務整理の方法の中で、連帯保証人に迷惑をかけないですむ可能性がある唯一の方法が、任意整理です。任意整理は、その任意という言葉が示すようにいくつかある借金先の中から任意の数件を選びだして整理する処理を言います。

ただ、自己破産や個人再生は、ほとんどの借金を免責とする強力な整理方法でしたが、そのような大きな影響力のある方法ではありません。任意整理では、借金先それぞれから、取引履歴を取り寄せ、利息上限法に基づいて借金の引き直し計算を行います。その結果確定した借金額に対して、3〜5年で返済できる計画を新たに立て直す債務整理方法が任意整理です。

借金先からの取引履歴取り寄せや引き直し計算、その後の返済計画の交渉は弁護士が請け負ってくれます。その過程で過払い金があった場合に、それを元本の返済に充てることや、将来に渡る金利をカットしてもらうことなど、少しでも借金総額が減るような交渉も行ってくれます。ただし、これはあくまでも交渉で債権者へお願いする立場なので、必ずしもうまくいくとは限りません。

とくにそれまでに何度も返済の約束を破っているなど、債権者からの信用が著しく低い場合は、交渉も上手くいかない可能性が高いです。任意整理は、交渉先も任意で選ぶことができるので、事前に交渉の結果に期待が持てるところだけ選ぶということも可能です。あまり選り好みをしていると、整理の効果がなくなりますが、そのような加減もできるところに特徴があります。

任意整理を行うと5年程度のブラックリストの掲載はありますが、官報掲載や職業の制限などは一切ありません。保証人についても、任意整理対象から外せば、保証人に知られずに手続きを進めることもできます。デメリットは一番少ない任意整理ですが、メリットも決して多くはないので、安定して返済し続けられるだけの収入が必要です。

以上、債務整理を行うことで、身の回り、生活にどのような影響が及ぶのかを、債務整理のメリット、デメリットとして紹介しました。多額の借金が免責になる自己破産、個人再生は強力な清算方法ですが、影響も少なからずあります。それらを総合的に判断して、どうするかを決める必要があります。

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