それでもやるべき？債務整理の問題点とベストな方法とは？

債務整理とは

債務整理には3種類ある

債務整理とはその名のとおり、合法的に債務（借金）を減らしたりゼロにしたりすることです。具体的には任意整理、個人再生、自己破産の3つの手続き方法があります。個人再生と自己破産は任意整理に対して強制整理と分類されることもあります。

任意整理とは

任意整理は月々の返済額や利息を債権者と交渉の上、減額してもらう、任意で整理する手続きです。債務整理の中で唯一裁判所を経由しない方法で、利用が最も多くなっています。

個人再生とは

個人再生とは、借金を5分の1程度に減額してもらい、基本的には3年で返済を行う債務整理手続きです。特別な事情がある場合は5年にすることができる場合があります。手続きは裁判所を通じて行われます。

自己破産とは

自己破産では、債務者が支払不能と判断された場合に「破産申立書」を裁判所に提出、借金の返済額をゼロにする手続きです。

債務整理の問題点

クレジットカード・ローン・キャッシングに関する問題点

債務整理をすると、これまでのようにクレジットカードやローンなどを使えなくなります。債務整理をしたことが信用情報機関に登録されます。信用情報機関に事故情報がある人は借金を返さなかった人としてブラックリスト入りしてしまいます。

ブラックリスト入りするとお金を貸してもきちんと返済する人だという「信用」が失われてクレジットカードや住宅ローン、キャッシングを利用したくても審査に通らなくなって、利用できなくなるのです。これで一生クレジットカードやローンなどが使えなくなるわけではありませんが、信用情報機関の情報が消されるまでの5～10年間は利用できなくなります。

車に関する問題点

マイカーがどうなるかは、選ぶ手続きによって違いがあります。任意整理を選んだ場合は債務整理の手続き対象から車のローンを除外すれば車はそのまま残すことができます。個人再生、自己破産の場合で自動車ローンが残っているか、車の価値が換算して20万円以上になる場合は、車を手放すことになります。ローンが残っていた場合は名義がローン会社にまだあるので、ローン会社に車を引き上げられてしまいます。

金銭に換算して20万円以上の価値がある車は金銭に換えて借金と相殺されるため、没収されてしまいます。車に20万円以上の価値があるかどうかは 一般財団法人 日本自動車査定協会（JAAI）に査定を依頼すればわかります。どうしても車を手放せない場合には、債務整理の方法を検討する時点でこのような点を考慮する必要があります。

家族・保証人に関する問題点

家族や借金の保証人に及ぼす影響も、手続きによって違いがあります。任意整理では整理対象の借金を選択できるので、保証人のいる借金を対象から外せば保証人に迷惑をかけずに済みます。個人再生、自己破産では対象とする借金を選択することができず、全部の借金が整理対象になります。

そのため債務整理が家族・保証人にさまざまな影響を及ぼすことになります。自分名義の持ち家がある場合は、家を手放すことになります。ただし、個人再生を選択すれば「住宅ローン特則」制度によりローンが残った家は整理対象にしないことが可能なので、マイホームを手放さなくて済みます。また、クレジットカードが利用できなくなるので家族は自分が名義人の家族カードを利用できなくなります。

連帯保証人に家族がなっていたら、家族が借金の支払い義務を負わなければならなくなります。クレジットカードやカードローン、キャッシングの場合は保証人はいないことが一般的ですが、奨学金などで連帯保証人を立てていて整理対象になった場合は、保証人に請求されてしまう可能性があります。

社会生活に関する問題点

債務整理することで、今後の社会生活に影響がある可能性もあります。債務整理したことは家族や職場に知られることになるのでしょうか？個人再生や自己破産は裁判所を通して行うので、国が発行する「官報」に手続きをした人の氏名・住所が掲載されます。インターネットで公開もされています。検索結果に出てくるようなことはなく、官報を一般の人が見ることはあまりありませんが債務整理したことは公開されます。

それ以上に収入証明書や家計収支表などの提出の必要があることで、家族に気づかれる可能性が高いといえます。コレまで述べてきたようなさまざまな影響を与えることになるかもしれず、隠していてバレた際には家族にショックを与えたり、関係が悪化したりする可能性もあるので、個人再生や自己破産をする場合は家族に話しておくほうが得策です。

いっぽう任意整理を選んだ場合は知られる可能性は低いといえます。任意整理の場合は裁判所を通さずに債権者と交渉するため、提出が必要な書類も少なく済みます。官報にも載りません。家族にどうしても知られたくない場合は任意整理を考えるべきでしょう。また、自己破産した場合には免責許可が確定するまでは職業が制限されます。弁護士や公認会計士、古物商、生命保険外交員、警備員などの職業につけなくなることも知っておきましょう。

こんな心配は必要ない

自己破産の手続きをしてしまうと選挙権がなくなる、海外旅行に行けなくなる、家を借りられなくなる、戸籍に記載されるといったデメリットを耳にしたことがあるかもしれませんが、誤った俗説です。そのようなデメリットはありません。

それでも債務整理をするべき？債務整理のメリット

債務整理することで得られるメリットはいうまでもなく借金を減らせることです。どのくらい減らせるかと、それぞれの手続きにより発生するデメリットを考慮してどの手続きを選ぶかを選択しましょう。任意整理を選ぶメリットは家族や第三者に知られずに軽い負担でできることです。保証人や家族に迷惑をかけたり、車を手放したりしないですむように整理する借金を選べることです。

個人再生を選べば任意整理より大幅に借金が減額できます。家や車を残すことができ、職業の制限もありません。自己破産を選ぶことの最大のメリットはほとんどの借金が免除されて支払わなくてもよくなることです。減額が大きくなるほどデメリットも多く、重大なものになるので借金から逃れることばかりに気を取られず、メリット・デメリットをしっかり把握した上で、優先したいこと、守りたいものを明確にしておくことが大切です。

最善の形で債務整理をするには

専門家に相談して確実に適切な方法で

借金の金額や家庭、社会的な環境は人それぞれ違い、債務整理で起こる問題点に気をつけて最適な債務整理をするのはかなり難しい点が多くあります。弁護士など専門家に依頼して債務整理を進めれば、思わぬデメリットに困惑するようなことが避けられます。

特に任意整理には強制力がないので、専門家に的確な手続きをしてもらうことでトラブルなく、スムーズに手続きができます。慣れていないと難しく手間取る書類作成の代行もしてもらえます。

専門家でなければ難しい過払い金請求

専門家に債務整理を依頼すれば、昨今問題になっている過払い金がないかどうかも調べてもらえます。過払い金請求は信用情報機関のブラックリストに掲載されず、他人に知られる可能性も低い手続きです。請求することで払いすぎていた利息分が取り戻せます。デメリットは該当の業者からの借金がもうできなくなる可能性があることです。個人だと業者になかなか対応してもらえないことがあるので専門家に依頼することになり、費用がかかりますが安く済みます。

債務整理をしたほうがいい人

借金がかさみ、返済に困るようになっても債務整理をするべきか、決心がつかない人もいるかもしれません。債務整理をしたほうがいい人の目安として借金が年収の3分の1より多くなっている人、借金返済のために他社からの借り入れをして多重債務に陥っている人、収入から必要な最低限の生活費を引いた額では返済が無理と思われる人などです。当てはまっていたら状況がさらに悪化する前に債務整理を考えてみてください。